獣医師の給料や残業時間はどのくらい?やっぱり忙しい?

こんにちは、明石照秋です。

 

これから動物病院で働こうと思っている獣医学部の学生さんへ、獣医師のお給料はどのくらいか知っていますか?命を救う職業なんだから、ハードだけどその分待遇もきっといいんだろうなぁ、そんな風に考えている人もいるかもしれません。

 

ただ残念ながら、待遇は決してよくありません。給料も高くないし、残業時間もかなり長く、体力勝負な面が強いです。

 

自分も獣医師で、そのため周囲には動物病院で働いている友人がたくさんいるので、給料や残業についてのリアルな話をよく聞いています。小動物臨床の実際はどんなものなのか気になる人も多いでしょうから、今回はそれらについてご紹介していきます。この記事が、就職先について迷っている人の参考になれば幸いです。

 

 

同期のAくん(27歳) 3年目 年収280万円

 

月給:およそ23万ほど(手取り19万程度)

残業時間:月60時間

休日:週休2日(祝日は休み・たまに当番で休日も出勤)

 

Aくんは、個人の動物病院で働いています。毎朝8時半ごろに職場に着いて、仕事が終わるのは平均で21時くらいだそうです。

 

ほぼ全ての動物病院でそうなのですが、終業時間は一定ではありません。緊急の手術が入ったり、急に容態が悪化したりする子がいるためですね。そのため、遅い日は23時くらいになることもあるそうです。早い日で19時くらいだと言っていましたね。

 

仕事内容は、午前中は診察、午後一番に手術、15時くらいから午後の診察、19時からは手術かその日のカルテをまとめる、といったものです。だいたいどこの動物病院もこのスケジュールで1日が終わります。

 

休みは基本的に週休2日ですが、連休ではありません。木曜と日曜が休み、といった具合に飛び石で配置されています。祝日は休めることが多いそうですが、たまに当番で出勤があると話していました。ただ、その分はしっかり代休をもらえるそうです。

 

肝心の給料ですが、月収で見ると23万円ほどだそうです。これは残業代込み、というかみなし残業制(※)なので、いくら残業しても給料は変わらないと嘆いていました。そこから税金やもろもろが引かれ、手取りは19万円ほど。決して高くはないですね。年収ベースにすると280万円ほどなので、同世代の平均年収を下回っています。

 

※みなし残業制とは、給料に最初から残業代が含まれている給与体系を言います。そのため、残業したとしても追加で残業代が発生することはありません。

 

そして一番辛いのは、ボーナスがほぼないことだと言っています。出たとしても3万円程度で、ボーナスと言えるかどうか・・・といった感じですね。

 

ただ、働いていて楽しい職場なので、なんとかやっていけると話していました。これで人間関係も悪かったら速攻辞めてる、なんて笑いながら言っていましたが、そりゃそうですよね・・・。

 

 

先輩のBさん(30歳) 6年目 年収350万円

 

月収:25万円ほど(手取りで20万円程度)

残業時間:月50時間

休日:週休2日(祝日は休み・たまに当番で出勤)

 

 

勤務条件はAくんとほぼ変わらないみたいです。9時始業で、平均で21時くらいに仕事が終わると話していました。やっぱりその日の状況によって終業時間は大きく左右されるので、遅い日はとことん遅く、早い日はわりと早めに帰れるようです。

 

一日のスケジュールや、休日などの条件もAくんとほとんど変わりません。大きな違いはある程度まとまったボーナスがあることでしょうか。年に2回、それぞれ1ヶ月分くらいのボーナスがもらえるそうです。

 

Aくんと比べると年収が70万円ほど高いので、獣医師の給料は最初が低くて、そこからハイペースで昇給していくのかな?と思うかもしれませんが、そうではありません。Aくんの病院では昇給は年3,000円程度、Bさんの病院では年4,000円程度だそうです。

 

臨床獣医師の給料は、勤める動物病院によって大きな差が出ます。Aくんより給料が低いところもあれば、超激務な代わりに2年目、3年目で年収700万円に到達するところもあると聞きます。ただ、いろんな人の話を聞いた感じでは、Bさんくらいの収入が平均のようですね。

 

 

後輩のCくん(26歳) 2年目 年収300万円

 

月収:25万円ほど(手取りで20万円ほど)

残業:月100時間超

休日:週休2日(祝日はなし)

 

 

話を聞いていて、一番過酷な労働環境だな・・・と感じたのはこのCくんです。給料は平均程度ですが、残業時間が並ではありません。始業が8時半で、仕事が終わるのがだいたい0時過ぎ。さらに祝日がなく、有給も当たり前のように存在しません。みなし残業制なので、残業時間に関わらず給料は一定です。

 

しかも、職場の先輩たちは午前2時くらいまで残業しているそうです。これから俺どうなるんすかね・・・と半笑いで言っていました。自分も苦笑いで答えるしかありませんでしたが・・・。

 

祝日がないのも辛いと言っていましたね。週に2日は休みがありますが、祝日がない分、年間休日日数は少なめです。昇給は年に5,000円ほどで、これは平均的な部類です。

 

さすがにここまで忙しいのはレアケースですが、こういった病院もあることは知っておくべきです。忙しい分、経験は十分に積めますが、体が持つのかな・・・と見ていて心配になります。

 

Cくんは早く一人前の獣医師になりたいと思い、この動物病院を志望したそうですが、まったり働きたいと思っている人がこの病院に入ってしまうとそれこそ地獄でしょう。勤務先を選ぶ際は、必ず事前に実習に行き、現場の雰囲気をつかんでおくことをおすすめします。

 

 

大した昇給が見込めないのが辛いと3人とも言っていた

 

決して高くはない臨床獣医師の給料ですが、それよりも辛いのは昇給がほとんどないことだと言っていました。

 

民間や公務員では、数年勤めると役職が上がり、それに応じて給料も上がっていきます。しかし、動物病院では「院長」と「副院長」ぐらいしかポストがないので、なかなか役職につくことができません。

 

しかも、たとえ院長になったとしても雇われの身ですから、そこまで給与が大きくアップするわけではありません。30歳後半、院長で500万円ほどという話を聞きました。院長になればさらに仕事は増えるわけですから、この給料は果たして見合っているのか、どうしても疑問に感じてしまいます。

 

 

 

小動物臨床以外の獣医師の給料 

 

 

獣医師の仕事は小動物臨床だけではありません。公務員、民間の研究職、NOSAIなど、いくつもの選択肢があります。

 

給料面に限って言えば、最も待遇がいいのは民間でしょう。とくに研究職なら1年目から500万円以上もらえることもあります。ただ、入るのは相当に狭き門ですし、入ってからも大変なのは言うまでもありませんが。

 

公務員、NOSAIの給料は同じくらいです。自分は一時期、都市圏で公務員獣医師として働いていましたが、年収は1年目で350万円から400万円程度でした(特定を避けるためにあえてぼかしています)。

 

これは他の公務員と比べて別段高いわけではなく、昇給ペースも他の人と変わりません。獣医師手当のようなものはなく、一般的な公務員の給料とそう変わらないと考えておくとよいでしょう。

 

 

まとめ

 

なんだか散々な話ばかりしてしまいましたが、獣医師の待遇は良くない、これは事実です。しかし、給料が高い動物病院があるのも、また事実です。同期で公務員になった友人は、以前は年収800万円以上の病院で働いていたと言っていました(残業も150時間とか異次元なことを言っていましたが・・・)。

 

給料だけで仕事を決めるのもどうかとは思いますが、働いていくうえで大切な要素の一つです。どんな仕事をしたいのか、その職場はどんな待遇なのかなど、しっかり考えて就職先を決めてくださいね。