クラウドソーシングが「稼げない」と言われる理由を考察、指摘してみる

こんばんは、明石照秋です。

 

最近、家にこもりっきりで運動不足です。健康管理も立派な仕事のうちなので、なにかしら理由を見つけて積極的に外に出ないといけませんね。

 

さて、今日のテーマはクラウドソーシングが何故稼げないと言われるのか?についてです。検索エンジンで「クラウドソーシング 稼げない」、「クラウドソーシング 稼げる」どちらで検索しても否定的なタイトルが目につきます。逆に、クラウドソーシングで稼げた!というタイトルはほとんど見かけませんね。

 

稼げないと言っているページの主張を見てみると、おおよそ「単価が安すぎ!だからクソ!」か、「クライアントが糞すぎ!」の2つに分類できます。

 

確かにこの2つはある程度事実で、クラウドソーシングで稼げないと主張しているグループの立派な理由になるのですが、今回はそこからもう少し踏み込んで考察してみようと思います。

 

なぜクラウドソーシング市場は単価が安いのか?どうして悪徳クライアントと言われるようなクライアントが存在するのか、ですね。

 

特にクライアント側の問題だけではなく、ランサー側の問題を深く考えてみようかと思います。

 

ちなみに自分はクラウドソーシングでそこそこ稼ぐことができました(自慢)。ただ、継続してナンボだと思っているので、これからが大切だと考えています。来月あたり、「クラウドソーシングは稼げねぇ!クソだ!」なんて言ってたら笑ってやってください。

 

では、以下からいくつかの細かいテーマに分けてそれぞれの問題を考察、指摘していきます。また、主にライティング分野について書いていくので、エンジニア、デザイナーの方はまた状況が異なるかもしれません。

 

単価安すぎ問題

 

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確かにクラウドソーシング市場の平均相場は安いです。一文字0.5円なんてザラ、ひどいと0.2円なんてものもあります。

 

文字単価0.5円だとすると、1時間に2000文字打てるとしても、時給1000円ですね。こう考えると副業としては十分な時給に思えるかもしれませんが、多くの場合、テーマに対するリサーチの時間も必要になるので、1時間でこれだけの文字数を打つのは難しいでしょう。ましてや0.2円にもなると、時給を計算するのも恐ろしいです。

 

また、これでも市場の平均単価は上がってきたほうだと言われています。さずがにこれ以下の単価しかない状況では自分も取り組もうとは思わなかったでしょう。

 

では、どうしてこれほどまでに単価が安いのでしょう?考えられる理由は主に2つあります。

 

クライアント側が依頼記事に質を求めていない

 

クラウドソーシング上で多く見かける案件は、個人のアフィリエイトサイトの記事作成か、企業の謎メディアの記事作成案件です(おそらくこちらもアフィリエイト関係)。

 

ネット上であるサイトがgoogleの検索エンジンに評価されるには、十分な記事の質、もしくは大量のページ数が必要だと言われています。

 

ただ、サイト運営者一人では質はともかく、大量の記事を短期間で書くことは難しいでしょう。そこで外注のライターを雇って、記事を書いてもらう、ここまではごく自然な流れですね。

 

しかし、ここでクライアントが外注記事に質を求めていないことが問題になってきます。質の高い記事は自分で書くからいいや、というクライアントと、とにかく記事数があればいい!という思考停止クライアントの存在ですね。

 

記事数を稼ぐためだけに、外注ライターを雇おうというわけです。

 

そして、質を求めないということは誰にでも書けるということ。その分野に詳しくなくても、さらには日本語が多少怪しくても、記事数だけ用意できればいいわけです。

 

それなら、安く外注したほうが予算的に得ですね。記事の質は不問なのですから、高い単価を払って専門家に書いてもらおうが、安い単価で素人に書いてもらってもなんら変わりはないわけです。(と思っている)

 

また、以前は高い単価を払って記事を外注していたけれど、とても単価に見合う質ではない記事が上がってきた経験がある、というクライアントも多いでしょう。それならもう最初から期待せず、安い単価で依頼しようとクライアントが考えてしまうのも納得です。これはクラウドワーカー側にも問題がある例ですね。

 

このような理由から異常に安い案件がクラウドソーシング上に出回るわけです。現状、圧倒的にこういう案件のほうが多いので、パッと見た新人ワーカーが「単価安すぎ!」と考えるわけですね。

 

クラウドワーカーが足元を見られている

 

もう一つの考えられる理由が、クライアントがクラウドワーカーの足元を見ている、ということです。

 

クラウドソーシングのコンセプトは、「働くをもっと自由に、働き方に選択肢を」というものです。これに関連して、最近はフリーランスという働き方が注目されています。企業に属さず、場所に縛られない働き方、と言われていますね。

 

これらフリーランスは多くの人が得意分野を持っています。それを武器にして個人で仕事を受注し、生活しているわけです。

 

クラウドソーシング上がこのような専門家で占められていたら、現在のような市場価格の暴落は起こらなかったでしょう。安い単価の仕事は受注する人がおらず、自然と淘汰されるからです。

 

しかし、実際は多くの主婦やお小遣い程度を稼ぎたい人が、クラウドソーシングの登録者の大部分を占めていると考えられます。

 

特に、小さい子や育児に追われている主婦の方にとって、家の中で仕事ができるというのは大変魅力的です。

 

そこに悪徳クライアントが目をつけて、超低単価案件を放り込んできているのです。まるで、仕事があるだけ感謝しろ、といった感じですね。

 

また、「これだけは誰にも負けない!」という得意分野を持っている主婦の方は少ないでしょう。さらに、ライティング経験を持っている方になるとさらに希少です。ここにも悪徳クライアントはつけこんできます。初心者歓迎!や誰でも書けます!といった売り文句で、超低単価案件を紹介してきます。

 

確かに専門的知識を要しない記事依頼には、予算をあまりかけられないということはわかります。ただ、それにしたって単価が安すぎるのです。

 

こうして、どんな低単価の案件にも一定の応募が集まります。すると他のクライアントも、あの単価でも書いてくれる人がいるならうちもそうしよう、とさらに単価を下げ始めます。

 

このようにして、まさに負のスパイラルともいえる市場価格の下落が起こってしまうのですね。

 

クライアントが糞すぎ問題

 

クラウドソーシングが稼げないと言われているもう一つの理由が、クライアントが糞すぎて真っ当な付き合いができない、というものです。

 

確かにとんでもないクライアントは一定数存在します。他のクラウドワーカーの方の話を聞いていてもそうですし、自分も一度だけですが、そのようなクライアントに当たってしまいました。

 

どうして糞なんて言われるクライアントがクラウドソーシング上に多く存在するのでしょうか?

 

考えられる理由が、クライアントがそこまでクラウドソーシングに期待していない、です。

 

クラウドソーシングでは、「別にあなたじゃなくても代わりはいっぱいいる、だから我儘言うなら切るよ?」というクライアントが結構います。

 

特に、低単価帯にこのようなクライアントが集まっている傾向があるようです。募集はいつでも集まるんだから、一人のクラウドワーカーに固執する必要はない、ということですね。

 

いわゆる糞と言われるクライアントは、この態度がそのまま対応に出ているのだと思います。対して期待していないから、対応の優先順位もおのずと低くなる。これがクライアントの失踪や過度な修正依頼につながっているのでしょう。

 

ただ、このような問題を引き起こしたのはクラウドワーカー側にも責任があると考えています。詳しくは後述します。

 

以上が、単価が安すぎることと、悪徳クライアントが多すぎることについての考察です。

 

クラウドソーシングは「稼げない」のか?

 

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では、本当にクラウドソーシングは稼げないのでしょうか?答えは「NO」です。稼げている人は一定数いますし、どちらかと言えば自分も「稼げている」ほうに入るでしょう。

 

ただ、この「稼げている」人は圧倒的に少数です。少し前に、クラウドワークスの利用者で月収20万円を超えているのは111人だけという公式発表があり、物議を醸しました。

参考:「クラウドワークスで「月収20万円以上」わずか111人の衝撃 やはり働き方は「正社員が一番」なのか」

 

実際に「ランサーズ」でも月に10万円ちょっと稼げれば、ライティング部門上位200人の中に入ります。ちなみにライターでの登録人数は14000人以上にもなります。ほとんどの人が大した金額は稼げていないということになりますね。もちろん登録だけして放置、という人も数多くいるでしょうが。

 

また、数回仕事をこなしたのちにクラウドソーシングを介さず、直接契約するようになった、というパターンも一定数存在するでしょう。

 

そして、この「稼げている」、「稼げていない」問題は本人の主観によるところもあります。確かに月10万円の収入では、クラウドワーカーとして生きていくことは難しいでしょう。

 

しかし、会社員などが副業として月5万円稼げるならば、それは十分なお小遣いになりますよね。

 

「月収20万円超えが111人しかいない」問題に対して、お笑いコンビ・キングコングの西野亮廣さんは以下のように反論しています。

 

「本来、収入がゼロだったところを、月に5万円でも『自分の力で稼げる』という選択肢が生まれたわけじゃん。5万円あれば、どれだけ助かることか」

 

この意見は至極真っ当なものだと思います。収入源としての新しい選択肢、さらに在宅で行えるというメリットはとても大きいものです。

 

ただ、クラウドソーシングに毎日取り組んで、それだけで生活していこうと考えている人にとっては、上記の問題は深刻なものでしょう。

 

これはクラウドソーシングへの期待度の違いから現れる意見の相違なのではないでしょうか?

 

月3万円程度なら誰でも稼げる

 

クラウドソーシングで月30万円稼ごうと思ったら、それなりの努力をしなければいけません。継続することはもちろん、一定以上の文章力、市場で需要のある得意分野が必要になってくるでしょう。

 

しかし、月3万円程度なら誰でも稼げます。得意分野も大層な文章力も必要ありません。唯一必要なものは少しのやる気だけです。

 

実は、クラウドソーシング上は全体的に見るとまだまだライターの供給が足りていません。案件を選ばなければ誰でも仕事を獲得することができます。

 

実際、文字単価0.5円程度までなら比較的簡単に仕事を得ることができます。0.5円なら2000字書けば1000円です。一日2000字書けば、月3万円を稼ぐことができるのですね。

 

また、応募を0.5円の案件に限らず、それよりも単価が少し高めの案件をゲットできれば、より容易に稼ぐことができます。

 

このように「稼げる」ハードルを低くすれば、クラウドソーシングはとても便利な仕組みだと言えるでしょう。時給はともかく、家で仕事ができるというのはクラウドソーシングの大きなメリットです。

 

クラウドワーカー側の問題

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ここまで、主にクライアント側の問題について考えてきました。ただ、自分はクラウドワーカー側にも問題が潜んでいると考えています。

 

稼げない!と言っている人は、もちろんクラウドワーカーです。また、ブログなどでそう主張しているのも、当然クラウドワーカー側ですね。実際にクラウドソーシングについて検索しても、出てくる意見はほとんどクラウドワーカーのものです。

 

つまり、現在クラウドワーカー側の意見だけが日の目を浴びている状態なわけです。また、ワーカー側は自分の悪い点はほとんど主張しません。一方的にクライアント、もしくはクラウドソーシングに対する主張や悪口を書き連ねています。

 

こうなると、クライアント側の問題だけが多くの人に知られ、稼げないのはクライアントに全ての問題があると認知されていきます。

 

しかし、本当にそうでしょうか?クライアントに問題があるのは事実ですが、少なからず、クラウドワーカー側にも問題があるのではないでしょうか?。

 

では、具体的にどのような問題があるのか、指摘と考察を交えながら解説していきます。

 

責任感がないのはクライアント側だけではない

 

先ほど、クライアントの不誠実な対応、つまり責任感の欠如が一つの問題であると述べました。しかし、この問題はクラウドワーカーにもあてはまるのではないかと考えています。

 

以前、ランサーズであるクライアントと仕事をしているときに、「他のランサーとの連絡が取れなくなってしまって困っている。そのランサーの分の記事も執筆できないか」と相談されたことがありました。

 

これが1回程度なら、運が悪くたまたまおかしなクラウドワーカーにあたってしまったのかな、ぐらいの感想なのですが、以降も同じことがこの2か月で5回ほどありました。

 

ここまでくるともう偶然によるものではないでしょう。不誠実な対応をするクラウドワーカーも一定数存在しているということになります。

 

クラウドソーシングは基本的に匿名です。また、ネット上で関係が完結するので、仕事の途中でバックレても直接責められるわけではありませんし、責任を問われるわけではありません

 

さらに、ほとんどの人にとってクラウドソーシングは所詮副業です。本業が忙しくなったり、依頼された記事執筆が面倒になったりすれば良くて後回し、ひどい場合はバックレでしょう。

 

本業の場合はこうはいきません。バックレなんてすれば社会的な信用に関わるし、なにより生活できなくなってしまいます。そもそもの責任感が違うのです。

 

こういった理由から、クラウドソーシング上には責任感の欠如したクラウドワーカーが多数存在しているのです。

 

そして、そのようなクラウドワーカーに当たったクライアントは、そのワーカーに対してだけでなく、クラウドソーシング自体への信用も失ってしまうでしょう。

 

結果として、真っ当な価格で依頼することがバカらしくなり、上述したように質を求めない記事を異常な低単価で依頼するようになります。もしくは、クラウドソーシング自体を利用しなくなるのではないでしょうか。

 

このようにして、市場は低単価案件で埋め尽くされるようになるのです。まともな案件がない!とクライアントを一方的に非難することが多いですが、クラウドワーカー側にも問題があることを自覚すべきです。

 

もちろん責任感を持ってしっかりと仕事をこなすクラウドワーカーも多く存在します。そういった人たちは無責任なクラウドワーカーのせいで、一方的に割を食っていると言っても過言ではないでしょう。

 

どれだけ低単価でも受注するクラウドワーカーがいる

 

仕事の募集ページを見ていると、恐ろしい低単価案件でも応募者が一定数います。それこそ1文字0.1円程度の案件でも、5人ほどのクラウドワーカーが応募していることがあります。

 

確かに、仕事を受ける受けないはその人の自由です。それはひどい低単価の案件でも変わりません。

 

しかし、相場をはるかに下回った仕事の依頼を受けるということは、厳しい言い方になりますが、クラウドソーシングの市場価格を下げる片棒を担ぐことになるのです。

 

上述したように、低単価の案件に募集が集まれば集まるほど、クライアントはより低単価で募集をかけるようになります。これは一般市場の価格の関係と同じですね。需要と供給が一致したところに相場は落ち着きます。

 

正しい相場を下回る低単価案件を受注することが悪とまでは言いませんが、それがクラウドソーシングの可能性を狭めていることは確かです。

 

低単価案件が多くなれば、クラウドソーシングから人が離れていき、最終的にサービスは消滅してしまうでしょう。

 

自分としてはできれば適正価格で受注するようにしてほしいと考えているのですが、これは誰かが取り締まれるものでもないし、これからの利用者次第になるのだと考えています。

 

ただ、低単価案件を受けることは、結果として自分の首を絞めていることになる、ということを知っておいてほしいと思います。

 

継続をせずに見切るクラウドワーカーが多すぎる

 

多くのクラウドソーシングサービスのプラットフォームでは、実績や評価システムを導入しています。今までの受注数やクライアントの評価を可視化するシステムですね。

 

このシステムのもとでは、継続して長く利用しているクラウドワーカーが有利になります。実績が100の人と0の人では、多くのクライアントが前者に仕事を依頼するでしょう。

 

そのため、後発組は圧倒的に不利な状況からのスタートになります。ある程度実績が貯まってくるまでは、好条件の案件をゲットするのは難しいでしょう。

 

つまり、基本的にクラウドソーシングは始めてすぐの人が稼げるものではないのです。

 

それを1か月程度取り組んだだけで、「稼げない!クソだ!」と酷評するのはあまりに早すぎるのではないでしょうか?

 

実際に稼げない!と主張している人のページを見てみると、ほとんどの人が数週間、ひどい場合には案件をざっと見ただけというものでした。

 

そんな数週間程度で稼げるようになる旨い仕事は簡単に転がっていません。確かに一部、短期間で大金を稼げるような仕事はありますが、これほど一般に周知されているサービスでそんなことがあり得るはずがありません。

 

このような言い分でクラウドソーシング全体の評判が下がってしまうのは悲しい限りです。

 

まとめ

 

ここまでクラウドソーシングが稼げないと言われている理由、またそれを生み出している問題点について記してきました。

 

クラウドソーシングはまだ始まったばかりのサービスで、これからいかようにも変化する可能性を秘めているものです。それは利用者によって良い方向にも、悪い方向にも変化していくでしょう。

 

自分はクラウドソーシングは素晴らしいサービスだと考えています。働き方に自由を与え、上手く利用すればクライアントにもクラウドワーカーにも大きなメリットをもたらします。


だからこそ、正しい利用法を各自が模索し、このシステムが良い方向に発展していくことを願っています。

 

そうすることにより、市場価格の相場も適切なものになり、この業界がさらに活発化し、「稼げない」という声は減っていくのではないでしょうか。

 

この文章を読んだ、クラウドソーシング利用者、またこれからの利用者に何らかのきっかけを与えることができれば幸いに思います。

 

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