ピアノ独学者のためのハノン教本の使い方
こんにちは、明石照秋です。今日、実年齢より若く見えると言われて上機嫌です。女性の気持ちがわかったような気がします。
今日はピアノをやっている人なら誰でも知っている、「ハノン」の具体的な使い方、やり方について説明していきたいと思います。以前、ハノンはいつからやり始めるのが効果的かについても解説したので、そちらも参考にしてみてください。
さて、ハノンの1ページ目をめくってみると、この本は1時間で全フレーズを弾けるので毎日弾きましょう、みたいなことが書いてあるんですが、そんなのは無理です(笑)
そりゃ上級者なら可能なんでしょうけど、初心者や独学者にはまず無理でしょうし、ハノンだけに毎日1時間も使っている時間はありませんね。
そこでハノンを使いこなすには、自分が今どの部分を鍛えたいのかを明確にし、それに対応したフレーズを集中的にやっていくことが必要になります。
よく前から順番に...というのを聞くんですが、ハノンでそれをやっているといつまでたっても終わりませんし、似たり寄ったりなフレーズも多いので、同じ部分だけ鍛えられて肝心の弱点はまったく...といったことにもなりかねません。
今回、鍛えたいポイント別に重点的にやったほうがいいフレーズをピックアップしたのでぜひ参考にしてください。
まず第一番
一番基本的な指の運びですね。これをまず弾いてみて自分の弱点の指を知りましょう。といっても、ほとんどの人が薬指と小指になるとは思いますが。次にその弱点を潰す練習をしていきましょう。
またハノンを弾く時のチェックポイントとして、
1.各指の音が均等になっているか
2.右手と左手で極端な音量差がないか
3.右手と左手のリズムがぴったりあっているか
などを意識して弾くといいと思います。単純なフレーズなので、ただ指を動かしているだけになりやすいのですが、そうならないように注意しましょう。
薬指、小指を重点的に鍛えたい!
薬指、小指はほとんどの人にとってネックになる指ですね。そこでその2指を重点的に鍛えるために以下のフレーズを練習しましょう。
第6番
小指の音を基点に音が動いていくパターンですね。小指、薬指が独立していないと弾ききることができません。この2指を鍛えるにはぴったりです。
第11番
小指と薬指でちょっとしたトリルのようになっています。最初はかなり難しく感じると思いますが、ゆっくりのテンポで確実に練習していきましょう。
第46番
まずは上から2行だけをやりましょう。トリル練習で全てのパターンで均等に音が出せるように意識して練習しましょう。
鍵盤感覚を養うための練習
鍵盤感覚がついてくると、音を外すことが少なくなりますし、最終的にはブラインドタッチができるようになります。指を大きく開くフレーズが多いので、手首などを痛めないように気をつけて練習しましょう。
第4番
人差し指で違う音を弾きます。慣れないうちはよく音を外すでしょうが、曲でも頻繁に出てくる運指なのでよく慣れておきましょう。また小指への跳躍も要チェックです。
第12番
これまでとは違い、小指からのスタードです。違いはそれだけなのにすごく弾きにくく感じると思います。最初の親指の音を外しやすいので注意しましょう。
第15番
今まで基点として安定していた親指も移動します。今まであまり親指は意識していなかったでしょうから、ここで改めて親指の位置感覚を確認しておきましょう。
音階について知りたい、弾けるようになりたい
音階を理解し、弾けるようになっておくことで様々な曲に応用が利きます。また曲中でも出てくることが多いので、初見力なども上がります。
第39番
12種類の長音階と、それに加えて2種類の短音階が書いてありますが、最初は長音階だけ練習しておけばいいと思います。短音階についてですが、「自然的短音階」が書かれていないんですよね...。
自然的短音階は長音階の3、6、7番目の音が半音下がった音階です。長音階に慣れてきたら練習してみるといいと思います。
それにも慣れてきたら、ハノンに書かれている和声的短音階と旋律的短音階にも挑戦してみるといいでしょう。
曲中では結構な早さを要求されることが多いので、ある程度の早さまでは弾けるようになっておきたいですね。あ、でも早さを意識しすぎて適当に弾いちゃだめですよ。
お尻についている和音はここでは別に弾かなくてもいいかなーと思います。実際、自分は練習していません。
アルペジオが苦手
アルペジオは曲中で1位、2位を争う登場頻度ですね。なので、ここでしっかり練習をしておくことで曲練習へも応用することができます。
第41番
全ての3和音のアルペジオが書かれています。3和音とは、ド、ミ、ソ、といったように主音、3度、5度の3つの音から成る一番基本的な和音のことをいいます。また今度詳しく解説しますね。
指運びが結構きついですがしっかり練習しておきましょう。ここで和音についても少し勉強しておくと、後々役に立ちますよ。ちなみに実際の曲中では、これにいくつかの音を足したパターンで登場することが多いです。
余裕があったら次の第42番も練習しておくといいと思います。アルペジオは様々なパターンで慣れておくことが大事です。
初心者の壁、3度の重音
3度の重音はよく出てきますが、綺麗に弾くのはなかなか難易度が高いです。日頃から練習して苦手意識をなくしておきましょう。
第50番
3度の重音がズラリと並んでいます。拒否反応が出そうになりますが、頑張りましょう。本にも書かれているように、綺麗なレガートで弾けるように練習しましょう。また2つの音がズレて鳴ってしまうことが多いので、ちゃんと同時に鳴らせるよう意識して練習しましょう。慣れてきたら52番にも挑戦してみるといいでしょう。
ハノンをさらに使いこなすために
以下のことを意識することで、ハノンの練習効率をさらに上げることができます。せっかく練習するんですから、同じ時間でより上達したいですよね。そんなに難しいことではないので、ぜひ実践してみてください。
正しいフォームを意識して弾く
ハノンは機械的なフレーズが多いですから、毎日やっているとすぐにそのフレーズを体で覚えられます。そこで、意識をフォームにより向けて練習してみましょう。余裕がないときには気づかなかった問題点などに気づけることもあります。
肩、背筋、手首の位置などですね。また体、手首の脱力についてもチェックしてみましょう。以下の記事も参考にどうぞ。
フレーズのアクセントの位置を変える
これは各指の独立性に大きな効果があると言われています。ハノンの最初のページのほうにいくつかパターンがのっていますね。特に薬指、小指にアクセントをつけて弾いてみましょう。第一番を例に挙げると、こんな感じです。
これは薬指の音にだけアクセントがついていますね。最初はうまくいかないかもしれませんが、毎日続けることで指が鍛えられ、自由に動かせるようになってきます。
転調させて弾く
ハノンの弱点は楽譜が基本的にハ長調ということです。なので黒鍵があまり出てきません。でも実際の曲ではいろんな調性があるし、臨時記号などで、黒鍵もたくさん出てきますよね。
そこで、楽譜を転調させて弾いてみましょう。こうすることでいろんなパターンを練習することができて、実際の曲に応用できる実用的なものになりますね。
転調のやり方がわからない!という人のために、転調についても書いてみようと思っています。もう少しお待ちください。
ブラインドタッチて弾いてみる
ブラインドタッチとは手元を見ずに、基本的に楽譜を見てピアノを弾くことをいいます。これができると、初見の楽譜でもある程度弾けるようになりますし、読譜力も上がります。なにより楽譜を渡されてその場ですらすら弾けるのって憧れますよね。
ハノンは単純なフレーズが多いので、ブラインドタッチの導入にもってこいです。初めはゆっくりからでいいので、手元を見ずに鍵盤の位置を想像して弾きましょう。テレビを見ながら弾いてもいいかもしれませんね(笑)
最初は音を外しまくると思いますが、根気強く続けると鍵盤の感覚を体が覚えてきて、だんだん間違わずに弾けるようになってきますよ。
ピアノやフォルテなど音量を変えて弾いてみる
いろいろな音量で弾いてみて、どんな音量でも同じクオリティで弾けるようになりましょう。ピアノでは音量を意識しすぎてリズムが崩れたりしないように。またフォルテで弾くことによって演奏の基礎体力もついてきますよ。
まとめ
上で紹介したものを全部やる必要はありません。それだけで一日の練習時間が終わった!なんてことにもなりかねません(笑)最初に言ったように、自分に足りない部分を重点的にやればいいんです。ハノンを最大限に有効活用しましょう。
それでは今回はこの辺で。明石照秋でした。