日本人ピアニストで世界でも有名な方を5人紹介します

ピアニスト、って言われるとみなさんどんな人物をイメージされますか?おそらく普通の人に聞いてみると、バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン...と答えるんじゃないでしょうか。誰でも知っている顔が浮かんできますね。ピアニストはやっぱり外国人のイメージが強いですね。ここで日本人ピアニストをイメージした人はあまりいないでしょう。

 

でも日本人のピアニストにも素晴らしい方は当然たくさんいます。ピアノというとクラシック、そんな風に感じてしまいますが様々なジャンルがあり、それぞれの世界で活躍されている日本人ピアニストは数多くいます。

 

そこで今回はいろんなジャンルから活躍されている日本人ピアニスト5人についてまとめてみました。自分の好みでほとんど決めたので、この人が入っていない!とかはご容赦くださいね(笑)。有名な方ばかりですので、全員知っている人も多いかもしれませんね。知らない人はぜひyoutubeなどで演奏を聞いてみてください。

 

内田光子さん

 

クラシック界で世界で一番有名な日本人ピアニストはおそらくこの人でしょう。特に内田光子さんの弾くモーツァルトは世界最高峰とも言われています。またオーケストラを指揮しながら自身もピアノを弾く「弾き振り」も行っており、そちらも必聴、必見の価値ありです。

 

そんな世界でも有名な内田光子さんですが、幼少期から順風満帆なピアニストの道のりを歩んでいた、というわけではないようです。父親が外交官だったので内田光子さんが12歳のときに父親とともにオーストリアのウィーンに渡りました。今では違う国の人が歩いていても変な目で見るような人は少ないですが、当時はそんな簡単な時代ではなかったようです。またピアノ演奏も「東洋のミシン」(正確無比でつまらない)と言われ、なかなか評価されることはなかったのです。

 

次に16歳の時に父親がドイツに行くことになってそれに付いて行くか選択を迫られましたが、ウィーンに残ることを決意し、またピアニストとして生きていくことを決意しました。異国の地でたった一人で成功するかもわからない中生きていく、とても大変な決断だったのだと思います。以降、プロピアニストとして活動し、徐々に成功を収めていくわけですね。

 

内田光子さんのピアノの音はとても柔らかな丸い輪郭を持った音のように聞こえます。それでいてオーケストラから自然と抜けてくる音色です。とても穏やかで優しい人らしいので、その人間性が音にも表れているのかもしれませんね。 

 Mozart: Concerto for piano and Orchestra (d-minor) K.466

 

辻井伸行さん

 

辻井伸行さんもクラシック界で活躍されている方です。最近ではセキスイハイムのCMにも出演し、阿部寛さんと共演されていたのでそれで知った人も多いかもしれませんね。しかし辻井伸行さんは他のピアニストとはとても大きな違いがあって、なんと全盲の方なのです。つまり楽譜は当然、鍵盤すら見えないなか練習を続け、プロピアニストになったのです。とても自分にはできる気がしません。

 

辻井伸行さんは2歳の頃にはもうピアノに触れていて、目が見えないことを補うようにとても素晴らしい耳をもっていたと言われています。目が見えないので楽譜は読むことができません。なので先生に弾いてもらったり、音源を聞くことで曲を覚え、練習を積んでいったそうです。

 

そして20歳のときにヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールに参加し、アジア人として初優勝という快挙を成し遂げるのです。優勝後もクラシックの枠内だけに収まらず日本人アーティストと共演するなど様々な活動を行っているようです。

 

自分が初めて辻井伸行さんの演奏を聞いたのはラ・カンパネラだったのですが、その繊細かつ力強い演奏に感動し、後に全盲ということを知り、度肝を抜かれました。とくに音の表現力が素晴らしくて演奏にどんどん引き込まれていきます。 

 辻井伸行 ラ・カンパネラ

 

上原ひろみさん

 

上原ひろみさんはジャズピアノの世界で活躍されているピアニストです。上原さんは6歳からピアノを始め、8歳のときにジャズを知り、ジャズの世界へ傾倒していったそうです。8歳でジャズを弾く子供って凄いですね。周りからはちょっとませた子にも見えるかもしれません(笑)

 

そのあとも類まれなる音楽の才能を周りに感じさせつつ、20歳のときにバークリー音楽大学への留学を決意されたそうです。バークリー音楽大学はジャズの分野では世界的にとても有名な大学ですね。さらに2011年には発表したアルバムでジャズ部門のグラミー賞も受賞されています。グラミー賞は世界的にもとても権威ある賞ですね。日本人では初受賞だそうです。ちなみに海外ではHiromiという名義で活動しています。

 

上原ひろみさんはライブやコンサートを世界中で行っており、同じ場所には3日も留まることがないとか。朝起きたら飛行機に乗り、目的地に着いたら荷解きをし、そのままリハーサルへ...目まぐるしい生活ですね。ただ上原さんは観客と一つになれるライブが大好きだそうで、この生活も苦に思ったことがないとか。とてもパワフルな方ですね。

 

上原ひろみさんのピアノの特徴はその性格を表すように、力強い音を奏でます。でも、その中に繊細さもあってとても魅力のある音だと思います。またジャズといえば即興!ということでその時々によって全く違う演奏を聞かせてもらえるんですが、上原ひろみさんの即興はとにかく表現力がすごいです。弾いている時の感情、気持ちの揺れが演奏にそのまま表れているような、その感情が音に乗ってこっちまで届いてくるような感じがします。ぜひ一度聞いてみてください。

 上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト - 「MOVE」ライヴ・クリップ

 

久石譲さん

 

久石譲さんは宮﨑駿監督のジブリ映画の音楽を担当していることでとても有名な方ですね。ただ久石譲さんは本業は作曲家、編曲家であり、ピアノ演奏はあまり得意ではないと自身で語っています。それでも自身で作曲した曲を演奏するときのその表現は素晴らしいもので、やっぱりオリジナルを超える演奏はないんだな、と考えさせられます。

 

久石譲さんといえばジブリ!というイメージなんですが、その前には現代音楽というジャンルで主に作曲を行っていました。一度聞いてみるとわかりますが、これを久石譲さんが作ったの!?ってなると思います(笑)そのあとポップス、クラシックと移行していったようです。クラシックに移行してからは映画音楽を手掛ける機会は減少したようですが、全くなくなったというわけではありません。本人も「音楽を書いてくれと言われるのは作家として最高の喜び」であると語っています。

 

ジブリに初参加したのは「風の谷のナウシカ」で、これを務めたことで音楽家として一躍有名となっていきます。またもののけ姫では、宮崎駿監督の熱意に惹かれ、あまり経験のないオーケストラ音楽を手掛けます。これをきっかけに久石譲さんは指揮者としても活動するようになっていきます。

 

指揮者としてのスタイルも様々で、自身もピアノを演奏しながら指揮をする「弾き振り」や、また一風変わった編成での演奏などいろいろなことにチャレンジされているようです。ジブリ以外の曲も聞くことで久石譲さんの新たな一面を見つけることができるかもしれませんよ?

 久石 譲 / Joe Hisaishi -- Summer

 

 

新垣隆さん

 

新垣隆さんはゴーストライター事件でとても有名になった方ですね。ゴーストライターということで字面からネガティブな印象を持ってしまいがちですが、その演奏家としての実力は確かなものだと思います。テレビなどでもいじられキャラとして出演することが多いので、あまり演奏家のイメージはもたれていないかもしれませんね(笑)

 

テレビなどでピアノを演奏される時はクラシックを弾くことが多いですが、新垣隆さんの得意とするのは「現代音楽」というジャンルです。あまり聞き慣れないこの言葉ですが、その演奏はさらに聞き慣れないものです(笑)。特徴は「無調」であることで、メロディー性があまり感じられません。適当に弾いているんじゃないかとも思われがちですが、非常に高い演奏技術を必要とするそうです。

 

新垣隆さんの人物像はとても優しい性格であるということと、音楽オタクであると新垣さんの友人、知人は語っています。新垣隆さんの部屋には世界の民族音楽から日本の演歌まで、様々な種類のCD、楽譜が山になっているそうです。また大学時代にはすでにCMソングに携わるなどその才能を発揮していました。

 

新垣隆さんの手掛けた曲で一番有名なのは皮肉にも「交響曲第1番 HIROSHIMA」だと思いますが、現代音楽の演奏もぜひ一度聞いてみてください。独特の世界観に虜になるかもしれませんよ?

 新垣隆 ピアノのためのソナタ

 

 

今回は自分がぜひ知ってほしい日本のピアニストを5人紹介させていただきました。他にも紹介したいピアニストはたくさんいるので、またの機会にまとめてみたいと思っています。日本のピアニストは外国の方に比べて、感情表現が豊かであるように感じますね。同じ日本人で感情の起伏が似ているのでそう感じるのかもしれませんが、これも大きな魅力だと思います。

 

ピアノは構造的に体格の大きい外国人が有利だと一般的には言われていますが、日本人ピアニストもどんどん世界で活躍していって欲しいですね。明石 照秋でした。

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