消えたくなければ相手を「裏返せ」 「エンド・ゲーム 常野物語」【小説オススメ】
今日は恩田陸の「エンド・ゲーム」を紹介しようと思う。
あらすじ
拝島(はいじま)一家は小さい頃から「あれ」と戦ってきた。時には逃げ、時には相手を「裏返し」た。
父親は娘の時子が幼い頃に失踪してしまったため、母親である暎子が女手ひとつで時子を育ててきた。
しかし、暎子が突然倒れたという一報が時子の携帯に届く。慌てて病院に駆けつける時子。そこには体に異常がないのに眠り続ける母の姿があった。
まさか母は「裏返された」? 身寄りもなく、一人になってしまった時子は大きな不安に襲われる。
そんな中出会った一人の男。彼は自身を君たちを救う「洗濯屋」と名乗る。今まで「あれ」に怯えて暮らしてきた時子と暎子の生活は彼との出会いで一変する。
「エンド・ゲーム 常野物語」はこんなお話
拝島 時子
就職も決まり、卒業を間近に控える大学4年生。父親が幼い頃に失踪してしまったので母親である暎子と長く母子家庭で育った。
広場恐怖症で、見ず知らずの人が多い場所に行くのは苦手。理由は「あれ」がどこからやってくるのか把握できないから。
「あれ」は銀色のボウリングのピンに見える。
拝島 暎子
時子の母。苦労しながらも女手ひとつで時子を育ててきた。また仕事面では大企業の部長でもあり、有能な一面が伺える。
「あれ」が見える一族の中でも、「強い」能力の持ち主だと言われていた。しかし、前触れもなく突然倒れてしまう。
時子は母が何者かに「裏返された」と勘ぐるが...
「あれ」は苔のようなものに見える。
父親
遠い昔に家族の前から姿を消してしまった拝島家の長。
一族の中でも飛び抜けて強い能力の持ち主だったので、時子や暎子は彼が「裏返された」のではなく、なにか理由があって姿を消したのだと考えている。
火浦 晃司
母親が倒れた時子の前に現れた「洗濯屋」と名乗る青年。「洗濯屋」の中でも飛び抜けて強い能力を持った彼は、人の人格を破壊し、廃人にしてしまうほどの力を持つ。
「君たちを救うことができる」と語る彼だが、そのためには交換条件を飲んでもらう必要があると時子に言う。
彼の真意が見えず、信用しきれないものの、条件に従う時子。彼と共に行動することによって、本人すら忘れていた過去の真実が暴かれていく。
「あれ」とはなにか? 「裏返す」「裏返される」とはどういうことなのか?
拝島一家やその一族にだけ見える「あれ」。「あれ」は日常の中に潜んでいて、彼らを「裏返そう」としてくる。
「裏返された」人間はどうなってしまうのか。「あれ」とはそもそもなんなのか。
父親の失踪の理由とは?
一族の中でも強い能力を持っていた時子の父親。そんな彼が姿を一家の前から消した理由とは?
また暎子はその夫が火浦と一緒にいるところを目撃する。火浦と父親の接点とは?またその目的は?
終わりに
「エンド・ゲーム 常野物語」を紹介した。後半、疑問符ばかりになってしまったが、ここを紹介すると一気に物語が冷めてしまうので、是非読んで知ってほしい。
この作品は「常野物語」シリーズの3作目で、最終作にあたる。とはいっても、この作品から読み始めても全く問題はないし、興味を持ったら他の作品も読んでみればいいと思う。
本の章ごとに時系列が大きく変化するため、慣れるまで少し話が理解しにくいかもしれないが、最後の展開は衝撃である。最後まで読み切ることを強くお勧めする作品。