こんなに大事だった!オーケストラの指揮者の役割

オーケストラなどで一番目立つのは誰か?そう、指揮者ですよね。一番前に立ってタクトを振る姿はとてもかっこいいです。指揮者の動き一つでオーケストラ全体の音が変わる...ちょっと憧れちゃいますね。

 

でも指揮者の仕事ってタクトを振るだけ?それだったら誰でもできそうな気がしてきますよね。なんなら自分でもできちゃいそうな...。

 

意外と指揮者の具体的な役割って知られてないんですよね。自分は学生時代に学生指揮としてタクトを振ったことがあるので、今回はその経験を踏まえて指揮者の仕事について書いてみたいと思います。まあ、なんちゃって指揮者だったので本職の人に比べると全然というか比べるのもおこがましいレベルなんですが(笑)これを読むとまた新しい目でオーケストラを見れるようになるかもしれませんよ。

 

指揮者の仕事の8割は本番前の練習にある

 

指揮者にとって重要な時間は本番ではなくて、その前の練習ですね。ここで出来上がったものを本番で観客に披露するわけですから。だからある意味、本番ではタクトを振っているだけっていうのはあながち間違いじゃないです。じゃあ、練習で指揮者がやること、できることってなんでしょうか?

 

曲のテンポの指定など大まかな流れをつくる

 

同じ曲でも指揮者が変わると曲の雰囲気ががらっと変わります。これは主に指揮者が、「この部分はこう弾いて」とか、「そこはもっとゆっくり」など弾き方の指定をしているからなんですね。これはそれぞれの指揮者のその曲の解釈の違いや、好みからきています。なので同じ曲でもテンポが凄く早かったり、遅かったりするんですね。

 

ちなみに本番で急に練習のときと全く違うテンポで振り出す指揮者などもいるそうです。そんなことをされると演奏者は気が抜けませんね。

 

目立たせるパートや全体の音量バランスを決定する

 

オーケストラではいろんな楽器があってそれぞれ特徴のある音を出しています。また楽曲も一つのメロディからできているわけではなくて、ベースラインや主メロディ以外のメロディアスなフレーズなどが2つも3つも同時に演奏されています。そこから指揮者はそれぞれの音量バランスなどを考えて聞きやすい、魅力ある曲構成にしなくてはいけません。全員が好き勝手に演奏するとただうるさいだけとかになっちゃいますからね。

 

ここにも各指揮者の曲の解釈の違いなどが表れてきます。違う指揮者の演奏を聞いた時に、「あれ、こんなフレーズがあったんだ」とか、「いつもなら聞こえてくる音があんまり聞こえないな」ってなったことないですか?同じ曲でもびっくりするくらい違うものに聞こえることもあります。

 

演奏者とうまくコミュニケーションをとる

 

これはちょっと意外だったんじゃないでしょうか。オーケストラでもずっと同じメンバーというわけではなくて、たまに顔ぶれが変わったりします。その変わることが多いのが圧倒的に指揮者なんですね。初対面の人しかいない楽団の指揮者をやることもあります。なので演奏者とうまくコミュニケーションをとるのはとても大事です。

 

指揮者も演奏者も同じ人ですからお互いに好き嫌いはあるわけです。嫌いな人の指示にはあんまり従いたくないですよね?演奏者も同じで嫌いな指揮者の言うことなんかあまり聞きたくないんです。ひどい場合、俺はこういう解釈なんだって本番でいきなり指示と違う演奏をすることもあるそうです。こんなことをされたら指揮者はたまったもんじゃありません。

 

なので本番はもちろん、練習のときも円滑に練習ができるように普段から演奏者とコミュニケーションをとることはとでも大事なんですね。指揮者は人としても立派じゃないとダメってことです。メンバーとけんかばかりする指揮者もいるそうですが(笑)

 

本番では具体的にどんなことをやっているの?

 

当然なにも考えずにただ棒を振っているわけではありません。ちゃんと重要な仕事をしているんですよ。

 

フレーズの「入り」のタイミングを出している

 

タクトを持つ手は当然一本ですから、もう片方の手は空いていることになりますね。そちらの手で演奏者に「ここで入って」というように「入り」のタイミングを出しています。それに合わせることでフレーズの担当者が一斉にズレることなく曲に入ることができるんですね。またタクトで直接指示している場合もあります。実際に見てみるとわかりやすいですよ。

 

動きで観客、演奏者に曲のイメージ、感情を与えている

 

とても激しい曲でも指揮者が棒立ちでタクトを振っていたらどうでしょう。なんか物足りないというか冷めちゃいますよね。演奏者もなんとなく気合が入りません。逆にもの静かな曲で指揮者が暴れるように動いていても、それはなんか違うだろって思っちゃいますね。

 

指揮者の動き一つでも聞いている人に曲のイメージを伝えることができるんです。それが曲に合っているものならより観客を曲の中に引きこむことができますね。観客とオーケストラの一体感が高いほど素晴らしいコンサートになるのでこれもとても大事なことです。

 

どうでしたか?当然他にも大事な役割はいっぱいあるんですが、自分が特に大事だなーと思う部分について今回はまとめてみました。また機会があれば指揮者に必要な能力などについても書いてみたいと思います。明石 照秋でした。